フリーメイソンの社会的影響

フリーメイソンでは旧約聖書が儀式に使用され、ソロモン王など古代ユダヤ系の人物も儀式に登場しますが、ユダヤ系の団体というわけではありません。もちろんユダヤ人の参加もあるわけですが、それはフリーメイソンの理念が人間の理性や博愛という超宗教的思想にあるからです。

 

もっとも近代以前の社会において、日常でのポグロム(ユダヤ虐殺)の恐怖からの解放を祈るユダヤ人には積極的に参加する動機が高まったとも考えられます。実際にドイツにおいては第一次世界大戦敗戦までは、ユダヤ人を排除したロッジもあったようです。

 

ユダヤ人とフリーメイソンを結びつける陰謀論が実際に喧伝されることがあり、太田龍やオウム真理教の麻原彰晃などのユダヤ陰謀論者はそうした行動をとっていました。しかしこうしたユダヤ人とフリーメイソンを結びつけた陰謀論は、現在は否定されており、実際には「シオン賢者の議定書」や、ドイツのナチス党政権下によって広められたものが原形となっているようです。

 

日本でもフリーメイソン陰謀論が語られたことがありました。そのきっかけは、シベリア出兵時に「シオン賢者の議定書」や「マッソン結社の陰謀」という謄写版刷りの小冊子が持ち込まれたことに始まっており、これは1923年に「中学教育の資料として適当なものと認める」との推薦文が付いて全国の中学校校長会の会員に配布されました。

 

他にも第二次大戦後のGHQ占領下では、フリーメイソンへの加入が好ましいと捉えられる場合もあったようです。当時では東久邇稔彦、鳩山一郎、佐藤尚武、高橋龍太郎らが加入しており、特に鳩山一郎は、総理在任中に加入してそのことが報道されています。

 

時の最高権力者であるマッカーサー元帥もフリーメイソンに加入していたので、その影響だという意見もあります。いずれにしても、都市伝説や陰謀論を扱った書籍、テレビ番組、WEBページなどでは、国家転覆や戦争などを目論む秘密結社としてしばしば扱われているのが実際のところです。